2005 年 34 巻 2 号 p. 130-133
症例は74歳,男性.1年半前から他院で腎不全のため維持血液透析が導入された.このとき,腹部大動脈瘤,両側腸骨動脈閉塞,左主幹部病変を含む冠動脈狭窄が認められたが,手術の危険性が高いと判断され様子観察下にあった.今回手術を希望し当院に入院したとき,重度の冠動脈狭窄に加えて腹部大動脈瘤の最大径が85mmと大きかったため同時手術が施行された.術後経過はおおむね良好であったが,不整脈に対する治療を要した.透析患者であっても同時手術は十分可能と考えられるが,その管理において,とくに心機能が低下している場合は不整脈に対する注意が必要である.