日本心臓血管外科学会雑誌
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胸痛発作と重症心不全を伴ったムコ多糖症に対する2弁置換術の1例
片山 幸広國友 隆二高志 賢太郎鈴木 龍介坂口 尚出田 一郎川筋 道雄
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2005 年 34 巻 4 号 p. 317-320

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抄録

今回われわれはムコ多糖症に対する2弁置換術の1例を経験したので報告する.症例は27歳女性,11歳時よりムコ多糖症を疑われていたが,平成13年9月ころより連合弁膜症による心不全症状と胸痛発作が出現し,手術目的で当科に紹介された.心エコーおよび心臓カテーテル検査上,IV度の大動脈弁閉鎖不全症とIII度の僧帽弁閉鎖不全症が認められた.手術は2弁置換術を施行し,術後経過順調で術後38日目に退院となった.術前の尿検査でヘパラン硫酸陽性を示したが,リンパ球酵素活性は正常でムコ多糖症の確定診断にはいたらなかった.しかし,摘出した大動脈弁弁尖と僧帽弁弁尖の組織所見上はムコ多糖の高度沈着を認め,臨床所見も含めるとムコ多糖症による心臓連合弁膜症と考えられた.

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