日本心臓血管外科学会雑誌
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大動脈基部置換術後生じた感染性仮性動脈瘤にrifampicin-bonded gelatin-sealed Dacron graftを用いた1治験例
加藤 亙田嶋 一喜寺澤 幸枝田中 啓介岩瀬 仁一井尾 昭典
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2005 年 34 巻 6 号 p. 422-424

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抄録

症例は58歳,男性で,大動脈弁輪拡張症(AAE),大動脈弁逆流(AR)のため大動脈基部置換術が施行された.術後3ヵ月目に,中枢側吻合部の破綻による仮性動脈瘤を生じ再手術を行った.再手術時に除去した人工血管から表皮ブドウ球菌を検出した.再手術後8日目から発熱し,炎症反応も上昇した.術後16日目の造影CTで仮性動脈瘤の再発が確認され再々手術となった.感染性仮性動脈瘤であり,人工血管感染を防ぐためにrifampicin-bonded gelatin-sealed Dacron graft (GELSEAL®;Sulzer Vascutek,UK)を用いて大動脈基部置換術を行った.術後経過は良好で,術後12ヵ月を経過し感染の再燃は認めていない.人工血管感染でin situの再建が必要である場合,rifampicin-bonded GELSEAL®は一つの選択肢になりうる.

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