日本心臓血管外科学会雑誌
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冠動脈バイパス術後早期に出現した収縮性心膜炎の1例
森田 英幹吉田 英生森本 徹神野 禎次多胡 護山根 正隆
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2005 年 34 巻 1 号 p. 44-47

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抄録

症例は60歳,男性.冠動脈バイパス術の約1ヵ月後に胸水が出現した.胸部CTで心膜の肥厚を認め,心臓カテーテル検査で右房圧(RAP),右室圧(RVP),肺動脈楔入圧(PCWP)の上昇と,右室圧波形がdip and plateau型を呈していたため,収縮性心膜炎による右心不全と診断した.手術は,体外循環を用いて心拍動下に行い,左室側壁,後壁側まで広範囲に心膜を剥離,切除した.心膜の剥離にはハーモニックスカルペルが有用であったが,ヘパリンの使用に伴い心臓の剥離面から出血が認められ,その止血には難渋した.術後心不全の回復には時間を要したものの,術前に比べRAP,RVP,PCWPは低下し,右室圧波形のdip and plateau型も改善した.

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