日本心臓血管外科学会雑誌
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右室流出路再建術に用いたePTFE 3弁付きDacron人工血管の中期成績
林 弘樹高橋 幸宏安藤 誠山城 理仁長町 恵磨菊池 利夫加瀬川 均
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2005 年 34 巻 2 号 p. 88-92

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抄録

Rastelli手術およびRoss手術における右室流出路再建術に用いられる弁付き心外導管として当院においては長期にわたって硬化石灰化が生じないと予想されるePTFE 3弁付きDacron導管を1997年より自作し使用してきた.今回これらの中期成績をとくに導管機能のエコーによる評価を中心として検討した.1997年7月より2002年8月までに当院で施行したePTFE 3弁付き導管を用いた右室流出路再建耐術例のうち当院外来にて追跡可能であった30例を対象とした.男女比は16:14.手術時平均年齢は16.4±7.2(3.4~33.4)歳で,手術時平均体重は41.7±13.3(13~64)kgであった.手術内訳はRastelli手術13例,Ross手術9例,Rastelli手術後の再手術8例で,使用した人工血管径の中間値は22(20~26)mmであった.最終外来エコー検査時,全例NYHA 1度であり,全例において弁の可動性を認めた.導管の圧較差は,退院時平均11±5.8mmHgに比し最終外来エコー時には平均13.8±6.5mmHgで有意差を認めなかった.弁逆流の程度は最終外来エコー検査時に退院時と比べて増悪した症例は1例のみで,non~trivial22例,mild7例,moderate1例でありsevere症例は認めなかった.当院で考案したePTFE 3弁付きDacron導管の中期成績は満足すべきものであった.しかし,長期成績に関しては今後の追跡検討が必要である.

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