日本心臓血管外科学会雑誌
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細菌性末梢塞栓を初発症状とする大腿-大腿動脈交叉バイパス術後遠隔期グラフト感染の1例
青木 賢治平原 浩幸菅原 正明小熊 文昭
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2006 年 35 巻 2 号 p. 118-121

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抄録

症例は71歳,男性,大腿-大腿動脈交叉バイパス術(FFBG)8年後,突然の右足痛を主訴に当院を受診した.右下肢は微小塞栓症を呈していた.鼠径部の感染所見は症候的になかったが,CTで左側吻合部近傍にグラフト周囲液体貯留とグラフト血栓を認め,同部の感染を強く疑った.手術は感染グラフト摘出と感染創から離れた血行再建として右側は腋窩-浅大腿動脈バイパス,左側は外腸骨-浅大腿動脈バイパスを行った.術後経過は良好.摘出したePTFEグラフトの壁内には広範にグラム陽性球菌が侵入していた.グラフトと右足壊死巣内の血栓から黄色ブドウ球菌を検出した.細菌性末梢塞栓が初発症状のFFBG遠隔期グラフト感染はまれであり,報告した.

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