日本心臓血管外科学会雑誌
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術後対麻痺を合併した腎動脈下腹部大動脈瘤待機的手術の1例
黒澤 博之佐戸川 弘之佐藤 洋一高瀬 信弥高橋 皇基三澤 幸辰瀬戸 夕輝坪井 栄俊村松 賢一横山 斉
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2006 年 35 巻 6 号 p. 324-327

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抄録

腎動脈下腹部大動脈瘤手術後の対麻痺合併は希で,待機例で0.1~0.2%とされる.今回われわれは,待機的腎動脈下腹部大動脈瘤手術において術後対麻痺合併症例を経験した.症例は65歳の男性で,陳旧性心筋梗塞に対する冠動脈バイパス術後に腹部大動脈瘤に対して待機的にY型人工血管置換術を施行した.術後第2腰椎以下の下肢完全対麻痺を合併した.本症例では右内腸骨動脈閉鎖による血流障害,Adamkiewicz動脈の血行遮断あるいは腰動脈閉鎖による側副血行路減少が原因であると考えられた.現在の標準術式では脊髄虚血を確実に回避することは困難であるため,術前のインフォームド・コンセントが必要であると考えられた.

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