2006 年 35 巻 1 号 p. 37-40
Wolff-Parkinson-White(WPW)症候群を合併した不安定狭心症に対して冠動脈バイパス術(CABG)を施行した1例を経験した.症例は54歳,男性.以前より動悸を自覚していたが,胸痛発作を頻回に生じるようになった.冠動脈造影検査で左冠動脈主幹部に90%狭窄,鈍縁枝に75%狭窄を認めたため,3枝CABGを緊急的に施行した.人工心肺離脱直後に発作性上室性頻拍(AVRT)となり,電気的除細動を行い,術後第1病日にカテーテル焼灼術を施行した.WPW症候群はPSVTをはじめとする不整脈を生じやすく,時に心房細動発作から心室細動へ移行し,致命的となるため,WPW症候群に対する治療方法や時期およびCABGの手術時期など治療戦略に関しては慎重に検討する必要がある.