日本心臓血管外科学会雑誌
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成人Ebstein奇形に対するHetzer法による手術経験
長濱 博幸福島 靖典福田 卓也早瀬 崇洋吉岡 誠
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2006 年 35 巻 1 号 p. 57-59

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抄録

成人Ebstein奇形に合併する三尖弁逆流に対し,Hetzer法による手術症例を経験した.症例は51歳,男性.主訴は労作時呼吸困難で,診断はNYHA III度の成人Ebstein奇形である.高度三尖弁逆流と心房化右室を認め,Carpentierの形態分類のType Bであり,さらに前尖には裂隙を認めた.三尖弁形成術はHetzer法にて,プレジェット付き3-0モノフィラメント糸で前尖・後尖の交連部付近の弁輪から中隔尖中央部の弁輪へU字縫合を行い,弁輪部を接合させ,縫縮偏位した部分の弁輪部を計5針のU字縫合で縫縮した.術後三尖弁逆流は認めず,胸部レントゲン写真上,心胸郭比は術前74%より術後60%へ著明に縮小し,またNYHAもIII度よりI度に改善した.Hetzer法は,心房化右室の縫縮を行わず,前尖または後尖,あるいは両者の弁機能を用い,本来の三尖弁輪レベルでの弁接合を得ることである.術式は比較的容易で再現性があり,また,術後結果もきわめて良好で満足いくものであった.

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