日本心臓血管外科学会雑誌
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トランジットタイム血流量計によるCABG術中グラフト評価の新たな指標:Diastolic Filling Index (DFI)
高味 良行増本 弘
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2006 年 35 巻 1 号 p. 5-9

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抄録

簡便で信頼度・再現性が高いトランジットタイム法によるCABG術中グラフト血流分析において,心電図信号を同期入力することにより血流量の収縮期成分(Qs)と拡張期成分(Qd)を同定し,拡張期フィリング指数(DFI=100∫Qd/[∫|Qs|+∫|Qd|])が得られる.術中にMedi-Stim社製トランジットタイム血流量計で平均血流量(Qm)(ml/min)・拍動指数(PI)・機能不全率(INSUF)(%)・DFI(%)・F0/H1(血流曲線を高速フーリエ変換した基本周波数(F0)とその2倍周波数(H1)のパワー比)を求め,術後グラフト造影所見との関連を追究した.術後造影できたグラフト125本について,開存グラフト(120本)と非開存グラフト(5本)の間で,Qm・PI・INSUF・DFI・F0/H1すべての指標において有意差を認めた.DFI>50%は,他の指標のQm>15ml/min・PI<5・INSUF<15%・F0/H1>1.0とともにグラフト開存と術中に判断する有用な指標と考えられた.

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