2007 年 36 巻 3 号 p. 153-156
症例は82歳,男性.草刈り中に倒れているところを発見され,近医に救急搬送された.胸部CTで,胸部大動脈瘤破裂による心タンポナーデが疑われ,当院に搬送された.来院時,血圧は74/47mmHgとショック状態だったが,意識は清明だった.胸部CTで遠位弓部大動脈に壁在血栓を伴う最大径5cmの嚢状瘤および心嚢液貯留を認めた.以上より心タンポナーデを伴う弓部大動脈瘤心嚢内破裂と診断し緊急手術を施行した.手術所見では,遠位弓部大動脈の小弯側で嚢状に瘤化した部位に,心嚢内と直接交通する破裂孔を認めた.脳分離体外循環下に遠位弓部大動脈人工血管置換術を施行した.術後経過は良好で第19病日に軽快退院した.