日本心臓血管外科学会雑誌
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冠動脈バイパス術の翌日に発生した急性大動脈解離に対する1手術例
中村 浩己須田 優司齋藤 洋輔村上 美樹子浅井 友浩山口 裕己
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2007 年 36 巻 4 号 p. 215-217

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抄録

冠動脈バイパス術(CABG)術後の急性大動脈解離は希であるが重篤な合併症である.今回われわれは,CABGを施行した翌日に急性大動脈解離を発症し,緊急手術を行い救命しえた1例を経験したので報告する.症例は73歳,女性.狭心症のため,オフポンプCABG(3枝:RITA-LAD,LITA-OM,SV-PDA)を施行した.静脈グラフトの中枢側は上行大動脈に吻合した.術翌日,呼吸リハビリを行っていたときに,突然,著明な高血圧(200mmHg前後)となり,ほぼ同時に背部痛を訴えた.造影CT検査を行い,大動脈解離(Type A)と診断した.ただちに緊急手術で上行大動脈置換術を施行した.解離のエントリーは静脈グラフトの中枢側吻合部であった.術後経過は良好で,術後24日目に独歩で前医に転院となった.CABGのさいには,グラフトの中枢側吻合が大動脈解離の原因となり,かつ術後超急性期に発生しうることを知っておくべきである.

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