2007 年 36 巻 5 号 p. 281-283
症例は92歳,女性.下腹部痛と腰痛を主訴に前医を受診し,腹部大動脈瘤の疑いのため救急紹介された.CT検査で最大径85×73mmの右内腸骨動脈瘤を認め,切迫破裂が疑われた.腹部正中切開,経腹膜的アプローチで,緊急手術を施行した.後腹膜腔と腸間膜に血腫が認められ,sealed ruptureと考えられた.分岐型グラフト(Intergard 16×8mm)を用いて腹部大動脈人工血管置換術を行った.術当日に抜管し,術後2日目にICUを退室した.その後の経過も良好で,十分なリハビリののち,術後13日目に独歩で退院した.本症例は,検索しえた範囲内で,最高齢の内腸骨動脈瘤手術例であった.