2007 年 36 巻 5 号 p. 292-294
症例は10歳の女児で,完全型房室中隔欠損に対し生後6ヵ月時に2パッチ法による心内修復術,2歳時に左側房室弁置換術(SJM-HP-17mm)が行われていた.今回,人工弁狭小化のため再手術を行ったが,古い人工弁と周囲の肥厚した心内膜の切除のみでは十分な弁口の拡大が得られず,VSDパッチを切り込んでパッチで補填する弁輪拡大を行い2サイズアップのSJM-HP-21mmで再弁置換を施行,術後経過は良好であった.僧帽弁位の人工弁置換では弁輪拡大法として確立された手技はなく,本方法は左室流出路狭窄を伴わない完全型房室中隔欠損患児においてのみ可能な方法ではあるが,安全かつ容易に人工弁のサイズアップが得られる有用な方法と考え報告した.