日本心臓血管外科学会雑誌
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巨大冠動脈瘤を伴った冠動脈肺動脈瘻の1手術例
中村 浩己齋藤 洋輔浅井 友浩村上 美樹子須田 優司山口 裕己
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2007 年 36 巻 6 号 p. 325-328

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抄録

冠動脈肺動脈瘻に冠動脈瘤を合併するのは希である.今回われわれは,上記合併例に対する1手術例を経験したので報告する.症例は73歳,女性.胸部圧迫感があり,前医で縦隔腫瘍が疑われたため紹介された.心臓カテーテル検査で,左前下行枝より分枝する太い流入血管を介して最大径5cmの冠動脈瘤が造影され,さらに肺動脈に流入する像が認められた.また,右冠動脈にも冠動脈肺動脈瘻がみられた.以上により,冠動脈肺動脈瘻を伴った巨大冠動脈瘤と診断された.手術は,胸骨正中切開・人工心肺・心停止下に,冠動脈瘤切除・縫合閉鎖および冠動脈肺動脈瘻閉鎖術を施行した.経食道心エコーでシャントの消失を確認した.術後経過は良好で,冠動脈造影で冠動脈瘤と異常血管の消失を確認し,術後11日目に独歩退院された.人工心肺を用いることにより冠動脈瘤を安全に切除することができ,異常血管の同定や術後のシャント消失確認には経食道心エコーが有用であった.

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