日本心臓血管外科学会雑誌
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細菌性眼内炎により両眼摘出にいたった三尖弁位感染性心内膜炎の1例
高本 やよい國友 隆二佐々 利明坂口 尚萩原 正一郎森山 周二高志 賢太郎川筋 道雄
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2007 年 36 巻 6 号 p. 348-351

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抄録

細菌性眼内炎は予後不良で失明にいたることが多いが,感染性心内膜炎と眼内炎の合併は希であり文献的にも報告は少ない.今回われわれは,眼内炎と三尖弁位感染性心内膜炎を合併した症例を経験したので報告する.症例は66歳,男性.Adams-Stokes発作を伴う完全房室ブロックの診断でペースメーカー植込み術を受けたあと,発熱のため再入院し抗菌薬を投与されていた.植込み術1ヵ月後に視力障害,意識障害,血小板数低下を認めたため当院紹介となった.入院時に両眼周囲発赤・腫脹と著明な結膜浮腫を認め,経食道心エコーでは三尖弁輪部に18×13mmの可動性に富むvegetationを認めた.DIC治療後にペースメーカー抜去,三尖弁後尖切除・形成術と同時に両側眼球摘出術を施行した.ペースメーカーは心外膜リード式とした.経過は良好で術後43日目に退院した.感染性心内膜炎は失明の危険が高い細菌性眼内炎を合併することがあり,治療経過中の眼症状出現に注意する必要があると思われた.

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