日本心臓血管外科学会雑誌
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心房中隔欠損に合併した僧帽弁閉鎖不全に対し“edge-to-edge”僧帽弁形成術を施行した1例
尾頭 厚村田 升山本 登
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2007 年 36 巻 1 号 p. 48-51

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抄録

症例は33歳,男性.2006年4月呼吸苦,下腿浮腫を主訴に来院した.中等度僧帽弁閉鎖不全症(MR),高度三尖弁閉鎖不全症(TR),肺高血圧(95/32mmHg)を合併した心房中隔欠損症(ASD)と診断した.QP/Qs 6.3,L-R shunt ratio 84.4%であった.欠損孔閉鎖,三尖弁輪形成術とともに合併したMRに対し“edge-to-edge”僧帽弁形成術を施行し良好な結果を得た.ASDではMRを合併しやすいことが知られているが,合併するMRに対する治療方針には議論のあるところである.ASDに合併するMRの僧帽弁病変は僧帽弁前尖後内側に多く認められ,腱索や弁尖自体には大きな異常のないものが多い.変性性病変による僧帽弁逆流へのedge-to-edge repairの中期的成績の報告はあるが,本症例のようなASDに合併したMRに対する中長期的成績は不明である.今後注意深く経時的変化を観察していく必要がある.

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