2007 年 36 巻 1 号 p. 52-54
症例は16歳,男性,高校ボクシング部選手.平成17年4月より300m走で下肢に痛みが出現する間歇性跛行のため当科を紹介受診した.ABIは右1.23,左0.99で,足部の動脈拍動は触知できた.しかし,足関節を背屈すると触知できなくなり,膝窩動脈捕捉症候群を疑った.64列マルチスライスCT(MSCT)により左膝窩動脈の内側偏位と高度狭窄,および腓腹筋内側頭による膝窩動脈の圧排を認め,左膝窩動脈捕捉症候群Delaney分類II型と診断した.手術所見では,膝窩動脈自体の器質的変化は認めず,異常筋束の切断のみで動脈の圧排は解除された.術後症状は改善し,左ABIは1.11と改善,背屈しても1.22と低下しなくなった.画像診断を中心に報告する.