日本医真菌学会雑誌
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口腔カンジダの付着およびバイオフィルム形成
二川 浩樹牧平 清超江草 宏福島 整川端 涼子浜田 泰三矢谷 博文
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2005 年 46 巻 4 号 p. 233-242

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抄録

総義歯や部分床義歯などの床下の炎症を広義に義歯性口内炎と呼んでいるが,これは不潔な義歯,汚れた義歯による感染であることが知られている.“義歯の汚れ”すなわちデンチャープラークは,義歯性口内炎だけでなく口角炎などを引き起こすことも報告されている.また,材質の劣化を引き起こし,これに伴いデンチャープラークの堆積が助長され,ますます口腔内環境が悪化することが懸念される.さらに,義歯の汚れの中には,カリエス,根面齲蝕あるいは歯周病の病原菌が含まれている.したがって,鉤歯,隣在歯や残存歯に対して悪影響を及ぼし,残存歯数の減少からQOLの低下につながってしまうことが懸念される.また,高齢者においては,一般に口腔諸機能や全身抵抗性が低下しているが,その口腔内に不潔な義歯を入れておくことは,デンチャープラーク中の真菌群の誤飲,誤嚥による消化管や肺への真菌感染症をまねく危険性に常に患者をさらしているようなものである.このような“義歯の汚れ”,すなわち『デンチャープラーク』の実態であるCandida albicansの付着ならびにバイオフィルム形成について述べる.

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