1995 年 44 巻 1 号 p. 32-35
わが国における各C型肝炎ウイルスサブタイプの頻度が明らかにされてきており, この頻度は国内の各地域で大きな差がないとされているが, 1病院の診療圏内における検討は行われていない。今回われわれは, 茨城県南地域で, 輸血歴のないC型肝炎症例について地域別のサブタイプの分布を明らかにし, さらにIFN治療の成績について検討した。サブタイプの頻度はII型が71%で最も多く, III型は16%, IV型は10%だった。これらは全国平均とほぼ同等だったが, 特定の地域でIII型が高頻度にみられた。この地域では輸血以外の特定の感染源が存在した可能性が示唆された。IFN治療で著効を示す例は, III型では75%にも及び, 本治療のよい適応と考えられた。これに比しII型では23%, IV型で43%に過ぎず, これらの症例では慎重に対応する必要があると考えられた。