日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
遺伝性球状赤血球症同士が結婚した2家系の家系調査
新井 正安田 洋伊東 祐二早川 和良高屋 忠丈戸島 敏渋谷 智顕佐藤 重子中川 訓江樫木 良友
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 44 巻 5 号 p. 676-679

詳細
抄録

HSは黄疸, 肝脾腫, 球状赤血球を特徴とし, わが国の先天性溶血性貧血の約70%を占める疾患で, その病態の本質は赤血球膜の異常とする報告が多い。今回我々が経験した23歳女性と20歳の弟, その両親 (父親53歳, 母親46歳) は全て末梢血所見と電子顕微鏡所見にてHSと診断され, このうち末梢血で貧血を認めたのは父親を除く家族3人であった。またこの両親それぞれの2家系では, 共通するHLAが存在し, かつヒトパル・ボウイルスB19は全員陰性であった。一方これら2家系の人々にいわゆる予防訪問看護を実施し, 比較的誤解曝れがちな遺伝性疾患に対する知識の啓蒙活動を実施した。今回のように, HS同士が結婚した症例の報告はなく, この家系に予防訪問看護を実施した貴重な症例と考えられたので, 若干の文献的考察を踏まえて報告した。

著者関連情報
© (社)日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top