テロメラーゼはヒト肺癌組織では80%以上で活性が認められ, 癌の存在診断の一助となることが報告された。そこで今回, 我々は臨床的に原発性肺癌を疑った症例の気管支肺胞洗浄液中のテロメラーゼ活性の測定を試みた。方法はpolymerase chain reaction (PCR) を利用した高感度のアッセイ系であるTRAP (terometric repeat amplification protoco1) assayで行なった。この結果, 原発性肺癌と病理診断のついた6例は全てテロメラーゼ活性が陽性であった。一方細胞診は6例中4例で陽性であり, 2例 (扁平上皮癌と腺癌それぞれ1例) は陰性であった。このことから, 気管支肺胞洗浄液中のテロメラーゼ活性を測定することは, 肺癌のスクリーニングに応用できる可能性があると考えられたが, 未だ現在症例数が少ないため, 今後症例を重ねて検討していかなければならないと考えられた。