皮膚刺激の尿管運動に及ぼす影響を麻酔ラットを用いて検討した。皮膚の侵害性刺激であるピンチ刺激と非侵害性刺激であるブラシ刺激を種々の皮膚領域に加え, 尿管蠕動頻度の変化を観察した。ピンチ刺激によって, 尿管蠕動頻度は増加したが, 足蹠・胸部・会陰部の皮膚領域の刺激が増加反応に有効であった。この増加反応は, 下腹神経, 骨盤神経, 迷走神経の両側性切断では消失せず, 内臓神経の切断で消失した。以上の成績から, この増加反応は皮膚の侵害性感覚神経を求心路とし, 内臓神経を遠心路とする反射性反応であることが示唆された。皮膚のブラシ刺激では尿管蠕動頻度に有意の反応は起こらなかった。