麻酔ラットについて後肢前脛骨筋部 (足三里穴相当部位) の鍼刺激による心拍数減少反応を観察し、その反射性機序について検討した。鍼刺激により心拍数減少反応は22回の試行に対し55%の割合で出現し、皮膚を分離した筋のみの刺激では20回の試行に対し70%の高率で出現した。鍼刺激による心拍数減少反応は大腿神経及び坐骨神経の切断により消失し、迷走神経切断には影響されず、交感神経心臓枝の切除により消失した。従って、鍼刺激による心拍数減少反応はおもに筋に分布する感覚神経を求心路、心臓に分布する交感神経を遠心路とする体性自律神経反射を基礎とした反応であることが明らかとなった。