Journal of Pesticide Science
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イミプロスリン異性体のラットにおける代謝
吸収と分布
斎藤 幸一金子 秀雄冨ヶ原 祥隆中塚 巌山田 宏彦
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1996 年 21 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

新規ピレスロイド系殺虫剤イミプロスリン [2, 5-dioxo-3-(2-propynyl)-1-imidazolidinyl] methyl (1R)-cis, trans-chrysanthemate の trans およびcis体のアルコール側14C標識体を雌雄ラットに1および200mg/kgの割合で1回経口投与した. 血中の14C濃度は trans 体投与群で, 投与後5時間以内, cis 体投与群では投与後9時間以内に最高値に達し, その後, 減少した. trans 体投与群はcis体投与群に比べ最高値は高値を示したが, その減少は速やかであった. 組織中の14C濃度は血中14C濃度の推移とともに減少した. 投与後72時間目の各組織中の14C濃度は, cis体投与群は trans 体投与群に比べ高値を示した. 血液中の代謝物分析の結果, 低用量群ではおもに, 1) エステル結合の開裂, 2) イミドメチレン結合の開裂, 3) イミダゾリジン環の水酸化, 4) 2-プロピニル基の脱離を認めたが, 高用量群ではエステル結合の開裂が主反応であった. イミプロスリンのラットにおける吸収, 分布には顕著な性差は認められず, また, イミプロスリンはラットにおいて速やかに吸収, 代謝, 分布され, そして, 体外へ排泄されることが明らかとなった.

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