Journal of Pesticide Science
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フルトラニルのラットにおける代謝
村上 信義内田 又左衛門藪谷 邦宏岡田 道則相澤 宏保
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1983 年 8 巻 4 号 p. 483-491

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抄録

ラットに経口投与した [アニリン環-14C] flutolanil (20あるいは100mg/kg) の放射能は速やかに尿および糞中に排泄され, 呼気中CO2には検出されなかった. 血中放射能濃度は2時間後に最高値 (それぞれ4.2あるいは12.5μg 14C-flutolanil 当量/ml) に達し, その後速やかに減少した. 14C-flutolanil (20mg/kg) 投与72時間後には, いずれの組織および器官にも高い放射能の残存はなかった. 24時間までに得られた尿および糞中にそれぞれ投与量の2.3および1.2%の flutolanil が検出されたが, 多くは代謝物としてであり, 尿中に抱合型, 糞中に遊離型として排泄されていた. 代謝物として, 3′-(1-hydroxycarbonylethoxy)-2-(trifluoromethyl)benzanilide (3), 4′-hydroxy-3′-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (4), 3′-hydroxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (5), 4′-hydroxy-3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (8) およびそれらの抱合体 (glucuronide あるいは sulfate) が同定された. 主代謝物は5であり, 遊離型および抱合型を合わせると, 投与量の57% (尿中に51%, 糞中に6.5%) を占めていた. 胆汁中には24時間で20%の5が, おもに (90%以上) 抱合体の形で排泄されていた. 胆汁への5の抱合体の分泌量は糞中への排泄量を上回っており, 胆汁中抱合代謝物は腸内で脱抱合化され, 再吸収されることが示唆された. flutolanil のラットにおける代謝は, おもに脱-O-アルキル化あるいはアニリン環の水酸化を経て, 生成するフェノール類の抱合によるものであり, ベンゾイル環の水酸化あるいはアニリド結合の加水分解はみられなかった.

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