紙パ技協誌
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コンデベルト乾燥法
開発の現状
レヒティネン ユッカ
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1995 年 49 巻 6 号 p. 931-942

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抄録

コンデベルト乾燥法においては, ウェブは片面が 2枚重ねのワイヤ (このうち目の細かい方がウェブに接する) に接した状態で, 2つのスチールバンド間の空気の無い環境で乾燥される。ウェブのもう一方の面に直接接するスチールバンドは高温に保たれ, 目の粗いワイヤに接するスチールバンドは低温に保たれる。
乾燥率は非常に高く, ウェブの単位接触面積あたりで, 従来のシリンダ乾燥の5~15倍程度の乾燥率が得られる。ウェブには優れた繊維結合強度が与えられる。ライナーボードの乾燥に最適な高いZ方向加圧力 (3~8気圧) で乾燥すると, シングルパス (片面乾燥ドライヤ) から出てくるウェブは片面にはワイヤマークが残るが, 一方の面は平滑で光沢を有した面となる。
コンデベルト乾燥には3つの基本的な乾燥方式がある。高加圧力型, 低加圧力+プレあるいはブースターヒーティング型, および, 短い高圧力ゾーンを設けた低加圧力型の3つである。これらのうち一番目の型は, ライナーボード, 中芯原紙および箱用板紙の乾燥に適し, 二番目の型は, 多種の印刷用紙および一部の板紙に適する。三番目の型は, 通常MGドライヤを使用する紙種用である。
コンデベルト乾燥は1975年に研究が開始され, 多数の静的なユニットが造られた。現在のものは高加圧力型以外のコンデベルトもシミュレートできるが, 主として高加圧力型での製品品質の研究のために使用されている。
バルメット社は実用機ベースのコンデベルトパイロットマシンを持っており, 5気圧の蒸気圧力, 600m/minの速度で良好に運転されている。乾燥ゾーンの長さは18mで, 700mm幅のウェブをドライネス約40%から必要な最終ドライネスまで乾燥させることが可能である。カスタマートライアルでは, ドライネス40~50%のウェブをオフラインのロールスタンドからコンデベルトに送る, あるいは, パイロットマシンによって抄造した紙をオンラインでコンデベルトに送るという2種類の異なった運転を行うことができる。

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