日本東洋医学雑誌
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色彩色差計を用いた舌色の客観表示
雪村 八一郎渡辺 隆司松本 孝徳里 政助鎮西 弘室賀 昭三
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1988 年 38 巻 3 号 p. 157-162

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抄録

舌色の定量的表示を試みた。測定に色彩色差計を用い, 表示は国際照明委員会推奨の表色系によった。これは, 色の明度をL*, 赤-緑の色相をa*, 黄-青の色相をb*, 色の彩度をc*値として数値化して表すものである。
漢方エキス剤投与12週前後の舌色を測定したところ, 各測定値は有意差を示して変化していた。また, 脳血管障害を生じた前後の一糖尿病患者の舌色の変化を観察し得た。
視診による舌色所見と測定値との関係を検討した。視診から紫舌とした患者の多くは低いb*値を示し, また群としてみると紫舌群は他の淡, 紅, 暗色舌群と, それぞれ比較しても, 有意にb*値が低かった (b*値が低いことは青みが強いことを示すと考えられる)。
糖尿病性網膜症罹患の有無と, 舌色測定値との関係を検討した。網膜症罹患群では非罹患群に比し有意の差でb*値が低値を示した。
以上より, 舌色は色彩色差計で測定でき, 測定値は視診所見と相関している可能性があること, また, 糖尿病性網膜症では測定上の舌色の青みが強い可能性があることが示唆された。

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