日本東洋医学雑誌
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桃核承気湯エキス剤の臨床効果
渡辺 一郎
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1995 年 45 巻 3 号 p. 557-561

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抄録

近年の社会構造の変革に伴い, 疾病の病態にも変化がみられる。桃核承気湯証の増加もその一つであろう。当院においても本方剤が頻用処方となったので, 1992年1月~10月末までの外来患者で本方エキス剤投与183例中効果判定可能な125例 (男12例, 女113例) につき臨床効果の検討を試みた。
投与例数の多い順に有効率をみると, 月経困難症82%, 過多月経74%, 高血圧随伴症状69%, 更年期障害72%, 腰痛59%, 冷えのぼせ55%, 月経不順55%, しみ38%, にきび60%, 痔核57%, アトピー性皮膚炎60%, その他外陰打撲症, 前立腺肥大, 脳血栓後遺症がみられる。
本方は古典 (湯液) の指示, 構成生薬から陽明病期・〓血病態で精神不安, 上熱下寒などの気逆を示すものに有効で, ストレスの多い, 美食で運動不足, 便秘などの背景をもつ今日的症例に幅広く適応されるべきと思う。

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