1996 年 47 巻 2 号 p. 245-252
かぜ症候群に対する麻黄附子細辛湯 (株) ツムラ, TJ-127) の有用性を検討するため, 封筒法による総合感冒薬との比較試験を行った。対象はTJ-127群83例, 総合感冒薬群88例で, 性, 年齢, 発病から投薬までの期間など, 両群の背景因子に有意差はみられなかった。結果として, 全般改善度では, TJ-127群は中等度改善以上が81.9%であり,一方総合感冒薬群は60.3%であった (P<0.01)。また, 患者に各種症状の経過をかぜ日記として記載してもらい, それらを検討した結果, 発熱, 熱感, 全身倦怠感, せき・たんの各症状において, TJ-127群の方が総合感冒薬群より有意に短期間に消失することが認められた。安全性においてもTJ-127群に問題となるものは認められなかった。以上の成績から, TJ-127はかぜ症候群の治療に有用な薬剤と考えられた。