1996 年 47 巻 2 号 p. 261-265
真武湯が有効であった食道静脈瘤術後の横隔膜下膿瘍を経験した。43歳の女性で術前肝機能は Child B で汎血球減少症を伴っていた。Hassab 手術の第10病日に38℃の発熱が出現し脾摘熱と診断してステロイド剤を投与した。一旦は解熱したが第35病日より再び発熱し, CT, 超音波検査にて左横隔膜下膿瘍と診断した。超音波下のドレナージ術と抗生物質を投与したが, ドレナージが不良で発熱が持続した。第70病日に真武湯を開始したところしだいに解熱し横隔膜下膿瘍は縮小した。西洋医学的にドレナージや抗生物質が無効な横隔膜下膿瘍に真武湯が著効した。