日本東洋医学雑誌
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慢性関節リウマチ43症例の検討
長坂 和彦引網 宏彰巽 武司土佐 寛順寺澤 捷年
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2000 年 51 巻 2 号 p. 241-246

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抄録

1994年4月から1998年3月までの4年間に受診した慢性関節リウマチ46例を検討した。効果判定にはランスバリー指数変法を用いた。20例はランスバリー指数変法が治療前の25%以下に改善し, 11例は無効であった。西洋薬を服用していた32例中24例は西洋薬を中止あるいは減量できた。漢方治療1年後の時点でランスバリー指数変法は43から20%に改善し, Steinbrocker の Class 分類は2.3から1.8に改善した。
附子は40例に用いた。このうち13例に副作用を認めたが, 全例減量することにより改善した。黄耆の副作用は2例にみられた。
奏効することが多かったのは, 防已黄耆湯加味で, 次いで桂枝加苓朮附湯加味であった。防已黄耆湯は, 黄耆と防已を通常量より多く用いると奏効率が高まった。また,桂枝加苓朮附湯単独では十分な効果が得られない場合は, 防已黄耆湯を合方すると有効性を高めることができた。
慢性関節リウマチは漢方薬の効果が十分に期待できる疾患であると考える。

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