日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
牡蠣沢瀉散の使用目標の検討
鎌田 晃彰古田 一史貝沼 茂三郎川口 哲三潴 忠道
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 53 巻 5 号 p. 529-535

詳細
抄録

我々は難治性の下半身の浮腫6症例に対し牡蠣沢瀉散料を投与し, 有効3例と無効3例を経験した。気虚や腎虚等が認められた症例では, まず気や腎を補い, 虚状が改善された後に, 牡蠣沢瀉散料を投与して浮腫の改善を得た。一方無効3症例は本方投与時に何らかの虚状が認められた。
過去の医籍によると, 牡蠣沢瀉散の使用目標は, 大病の後に虚証であっても, 腰以下の浮腫ならば, 直ちに本方を投与すべきであるとする説と, 虚実間以上の者に投与すべきであるとする説があった。我々の経験した慢性疾患の患者と一律に論じられないことが判った。慢性疾患の患者では牡蠣沢瀉散の使用目標を次のように考察した。(1) 下半身までの浮腫。(2) 尿不利。(3) 虚実間か実証。(4) 気虚や血虚, 脾虚や腎虚がない。(5) もし気虚, 脾虚, 腎虚等が認められれば, それらを十分に補った後, または十二分に補いながら処方する。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top