日本東洋医学雑誌
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マウスコラーゲン関節炎に対する独活寄生湯の影響
相馬 利光木暮 守宏越石 直巳池本 英志笠原 多嘉子久光 正
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2003 年 54 巻 4 号 p. 763-771

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抄録

DBA/1Jマウスによるコラーゲン関節炎 (CIA) は, 関 節軟骨中のII型コラーゲンに対する液性免疫と細胞性免疫よりなる自己免疫疾患モデルである。ヒトの関節リウマチ (RA) の有用モデルとして実験に用いた。この研究は, マウスコラーゲン誘導性関節炎による関節リウマチモデルに対する独活寄生湯 (DKT) の効果についてのエビデンスを得ることを実験目的とした。陽性対照にはプレドニゾロンを用いた。独活寄生湯は関節炎スコアを有意に抑制した。その抑制は42日に治療を中止したあとも実験期間63日まで持続した。また関節炎による障害の改善は, レントゲン像や病理組織像により確認した。Day 28には血清TNFα値の低下を, day 49にはIgG抗ウシII型コラーゲン抗体価の減少を観察した。これらの結果より, 独活寄生湯は炎症性免疫反応に影響を及ぼし, 関節炎の発症予防や症状抑制に有効であることが示唆された。

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