結核
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塗抹陽性肺結核における安静呼気エアゾル中の結核菌について
川田 博山里 将也篠沢 陽子鈴木 喜久雄大谷 すみれ根本 逸夫宮入 守
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2008 年 83 巻 4 号 p. 387-391

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抄録

〔目的〕肺結核の感染源は,咳嗽時のエアゾルが大気中で瞬時に乾燥した飛沫核と考えられている。一方,健常者の安静呼気中にもエアゾルは存在する。しかしながら,肺結核患者の安静換気時の呼気中に,結核菌を含むエアゾルが含まれているか否かを検討した報告はみられていない。今回塗抹陽性肺結核の安静呼気エアゾル中の結核菌について検討した。〔方法〕事前に基礎的検討を行い,蒸留水の結核菌浮遊液は,生理食塩水の結核菌浮遊液よりも遠心操作後の集菌効率が優れていることを確認した。そこで肺結核患者の安静呼気を30分間蒸留水にくぐらせ"呼気洗浄液"を作成し,遠心後の底部を検体とした。さらに10分間安静呼気を呼気凝縮器に通し,安静呼気凝縮液を採取した。24例の塗抹陽性肺結核患者を対象に,呼気洗浄液20検体および呼気凝縮液24検体の結核菌を検討した。〔結果と考察〕いずれの検体においても,塗抹,培養,結核菌同定DNAはすべて陰性であった。肺結核患者の呼吸運動に由来する安静呼気エアゾルが感染源となる可能性は低いと考えられた。

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