医学教育
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卒前臨床実習における学生の医行為の実施状況と課題
アンケート調査結果報告
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1997 年 28 巻 4 号 p. 205-212

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抄録

医科大学・医学部附属病院の学生臨床実習担当診療科を対象に, 医行為を中心とした実習の実施状況に関するアンケート調査を行い, 1,328科から回答を得た. 学生が直接行ってよいとされる水準1 (36項目) の医行為の実施状況 (ほとんどの学生あるいは一部の学生が実施している割合で, 全科の平均または関連当該科の平均) は, 80%を超える項目が8項目, 50~70%の項目が19項目, 50%未満の項目が9項目であった. 指導医の立会いのもとで状況によって学生が実施してよい水準II (15項目) の医行為の実施状況は, 同様に実施率が55~79%の項目が8項目, 50%未満の項目が7項目であった.原則として介助または見学にとどめるべき水準III (16項目) の医行為の実施状況は, 見学 (一部介助) を行っている率は82~86%が4項目, 50~79%が11項目, 40%が1項目であり, また, 実際に (一部の学生が) 実施している率が10~44%の項目が13項目, 6~9%の項目が3項目であった. そのほか各診療科において, 特殊な医行為の介助・見学や標準模擬患者・パソコン・模型・動物の利用, 学外・院外での体験実習が取り入れられていた. 一方, 学生の医行為の違法性の有無への不安, 患者への説明と同意, 学生の基礎的能力の向上, 指導スタッフの不足, 指導医の訓練と指導マニュアルの必要, などについて意見が多かった.

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