医学教育
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循環器学の学習に対する学生の理解度自己評価: アンケート調査による分析
宇都宮 俊徳諸岡 俊文木道 圭子小川 敏弘大坪 義彦龍 俊宏吉田 和代辻 信介徳島 卓松尾 修三
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1998 年 29 巻 2 号 p. 79-85

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抄録

われわれは, 学生が循環器学のどの分野に対し, 理解が十分, または不十分と自覚しているのかを検討するため, 1年間にわたりアンケート調査を行って分析した.
対象は1995年度に佐賀医科大学医学部5年生で, 系統講義および病棟実習を終了した96人である.アンケートでは, 各分野について,「十分理解できた」「大体理解できた」「もう少しで理解できそう」「理解できなかった」で自己評価させ, それぞれを3, 2, 1, 0点に点数化して統計分析を行った.
理解度自己評価点数は, 心筋梗塞, 狭心症, 心電図判読で高く, 救急処置, 血管病, 心外膜疾患で低かった.自己評価点数は, 3年次の授業時間数とは有意の相関を認めなかったが, 分野ごとの講義後試験成績とはR=0.43の正相関を, 年間入院患者数割合とはR=0.93の強い正相関を認めた.個人の理解度自己評価点数は, 0.50~2.20点に分布し, 平均1.30点, つまり「もう少しで理解できる」であった.
心筋梗塞や狭心症は, 講義時間は少ないものの, 病室実習で経験することが多いのに反し, 救急処置は経験する機会が少ないために, 理解度の自己評価点数に差を認めたと考えられた.学生には実例を体験させ動機づけすることが, 理解度を高めるよい方法と思われた.

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