医学教育
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診断学実習教育におけるspeciality based physical examination (SBPE) 方式の導入経験
鮴谷 桂和安田 幸雄菅井 進瓦井 康之大谷 信夫
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1998 年 29 巻 2 号 p. 87-92

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抄録

年次診断学の内科診察の実習と評価に, 本学独自のspeciality based physical examination (SBPE) 方式を導入し, 導入前後での内科診察実技能力の成績を比較検討した. われわれの考案したSBPE方式は各専門内科の医師がその専門分野の診察の指導と評価を行うもので, 1人の指導医が全身の診察を指導, 評価するのに比較して, 簡便で各教員への負担も少なく, なおかつ, その評価は正確であるという利点があった. しかし, 模擬患者の確保が困難なため医療面接の試験による客観評価は行わず, もっぱら身体診察のみによる臨床実技試験であり, いわゆるOSCEとは異なる. SBPE方式導入前の成績に比し, 導入後の成績では判定「不可」が著減し, 反対に判定「良」が著明に増加した. これはSBPE方式によって, 1) 専門医による正確な評価が行われた, 2) 本法導入が学生に対して積極的な動機づけを発揮したためと考えられ, 本法の有用性が実証されたとともに, その利点と簡便性のゆえに今後の普及が期待される.

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