医学教育
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卒後初期研修の実態および問題点
大阪大学医学部附属病院研修医に対する卒後臨床研修アンケート調査結果
笠原 彰紀妙中 信之嶋津 岳士西田 俊朗山本 浩司平出 敦吉矢 生人吉川 邦彦門田 守人
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1999 年 30 巻 6 号 p. 457-463

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抄録

卒後初期研修の現状・問題点を明らかにするため, 大阪大学医学部附属病院にて初期研修を受けている研修医にアンケート調査を施行し, 日常生活, 研修の状況, 研修方式, 将来の希望などについて無記名での回答を依頼した.日常生活では1か月間の休暇は1日以下が65%で, 1か月の平均月収は25.5万円, 希望月収は20.4万円であった.平均受持ち患者数は6.2人で, 病室在室時間に比し詰所滞在時間が有意に長く, 外来診療を行っていない研修医は68%に達していた.また, 診療行為の第一の相談相手は病棟担当各科医師が77%と多数を占めていたが, 13%は同僚の研修医と回答した.研修生活は多忙75%, 普通21%, 暇3%で, 満足度は満足38%, 不満なし21%, 不満40%であり, 不満の理由は雑用が多い, 症例に偏りがある, 多忙などが挙げられた.希望研修方式は総合診療方式37%, ローテート方式38%, ストレート方式23%であった.以上, 研修医の日常生活, 研修生活は多忙を極めているが, 現在の研修状況に必ずしも満足せず, 研修方式としてローテーションを導入することが望まれていることが明らかとなった.総合診療方式による研修の必修化を間近に控え効率的な質の高い研修システムを確立するためには, 医療事務的業務の簡素化, 指導体制の確立, プライマリ・ケアを含む研修内容への変更など解決すべき問題点が明らかにされた.

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