医学教育
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医科大学提出試験問題の医師国家試験での利用についての基礎検討
フィールド試験結果の解析
齊藤 寿一村井 和夫井上 洋西横山 英明吉田 謙一郎松岡 博昭堀江 孝至荒牧 琢己壇原 高二瓶 宏高野 加寿恵伊藤 泰雄高原 二郎斉藤 厚
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2001 年 32 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

各医科大学から提出された試験問題を医師国家試験に出題する時の問題点を検討する目的で, 10医科大学から卒業判定に使用した五者択一の試験問題の提出を受け, 90題の試験問題からなるフィールド試験をこれら10大学の6学年学生を対象に実施した.各大学の学内試験での正答率とフィールド試験での正答率とは有意の正相関が見られ, 学内試験の難易度から国家試験での難易度を予測することが可能であることが示された.一方, フィールド試験での正答率は学内試験での正答率よりも有意に低く, フィールド試験では学内者が受験する試験問題の難度が上昇することが示された.また, フィールド試験においても出題元の大学の学生の正答率はフィールド試験に参加したほかの大学の学生の正答率より有意に高く, 問題を提出した大学の学生にとって自校の問題は難度が低下することが示された.医科大学から提出された問題を医師国家試験に出題する場合には, 出題元大学の卒業生が高い正答率を示す偏りが発生しないように十分に配慮する必要がある.

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