医学教育
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基本的臨床技能教育カリキュラムの実施と学生の評価
斎藤 清二清水 幸裕北 啓一朗大澤 幸治渡辺 明治
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2001 年 32 巻 6 号 p. 451-457

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抄録

富山医科薬科大学で平成11年度に試行された,「臨床基本実習」における実習参加学生の成績評価, および学生によるカリキュラムの評価について報告した. 対象は, 病棟実習参加直前の医学部5年生100名. 修得すべき臨床基本技能は, 1) 医療面接法, 2) 全身診察法, 3) 胸部診察法, 4) 腹部診察法, 5) 神経診察法の5ユニットとした. 各ユニットの教育および評価の方略は, 1) 講義, 2) ビデオ実習, 3) スモールグループ (SG) によるロールプレイ実習, 4) SGによる患者実習, 5) 筆記試験, 6) 客観的臨床能力試験 (OSCE) とした. 学生からのカリキュラム評価は, すべての教育セッションに対しての5段階レーティング評価と自由記載評価によって行った. 受験者の成績は, 筆記試験, OSCEともに良好で, 再教育を必要とする者はなかった. 学生からの評価では, SG教育の評価が有意に高く, 次いでビデオ実習, 講義の順であった. 自由記載評価で最も多かったのは「指導内容を統一してほしい」「講義より実習の時間を増やしてほしい」であった. 今回の基本的臨床技能教育カリキュラムは, ほぼ満足すべき教育効果を挙げた. 学生によるカリキュラムの評価は, 教育改善に役立つものと思われた.

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