医学教育
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医療倫理教育におけるケーススタディの役割
看護学生と一般学生を対象とした倫理演習
村岡 潔
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2001 年 32 巻 2 号 p. 83-86

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抄録

近年,「脳死・臓器移植」などの先端医療の登場によって医療上の倫理的決定は複雑・多様化しており, 有効な応用医療倫理学の教育方法が望まれている. こうした背景から筆者は, 看護学生と一般大学生の集団に,「脳死」状態のケーススタディを用いた医療倫理演習プログラムを試みた. そして, 症例の具体的情況 (患者の人工呼吸器をはずすべきか否か) と一般論的な設問 (脳死は人の死か?) を対比することによって, 理念的定義 (タテマエ) と現実的選択 (ホンネ) との間にある判断の違いが検出された. この結果は, 学生の意思決定の基盤にある論理の検証に有用であり, こうした具体性をもつケーススタディは倫理教育の導入に適していると思われた.

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