医学教育
Online ISSN : 2185-0453
Print ISSN : 0386-9644
ISSN-L : 0386-9644
症候・病態をテーマにするテュートリアル教育
吉岡 俊正
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 33 巻 2 号 p. 99-104

詳細
抄録

問題立脚型 (または問題解決型) テュートリアル (problem-based learning tutorial) 教育とは, 学習の支援者であるテュータのもとで, 設定された課題に対して複数の学習者からなるテュートリアルグループが課題の問題点を明らかにし自己学習・討論により問題を解決する学習者主導の自己開発型学習形態である. 医学教育における問題立脚型テュートリアル学習では, しばしば患者を課題の対象として患者の問題点を解決する患者問題解決型あるいは診療問題解決型テュートリアルが行われるが, 学習目標を症候や病態に設定することもできる. モデル・コア・カリキュラムは生体の機能系あるいは臓器系に統合された学習の到達目標に症候・病態が含まれている. このような学習目標に対してテュートリアル教育は学習者の統合的理解を促進し, 臨床的臨場感を持って症候・病態を学習できる. 一方, 知識伝授型教育法である講義による学習は系統的な知識を効率よく習得できる. 両者の特性を理解したうえで, モデル・コア・カリキュラムの多岐にわたる症候・病態についての到達目標に対応する教育プログラムを組み立てる必要がある.

著者関連情報
© 日本医学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top