医学教育
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医学部における臨床遺伝教育
日本医科大学の試み
渡邉 淳浅野 ありさ三宅 秀彦右田 真平井 幸彦志村 俊郎島田 隆
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2007 年 38 巻 4 号 p. 245-250

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抄録

遺伝子医学の進歩が急速に臨床に還元されつつある.わが国では遺伝が含まれる高校生物を未履修である医学部学生が多い.また, 医学教育では臨床の場面で遺伝情報をどのように適切に扱うかを理解し, 考える機会はほとんどなく, 臨床遺伝教育をどの時期にどのような内容で行うかこれまでほとんど検討されていない.本論文では日本医科大学で基礎医学, 臨床医学を通して実践してきた臨床遺伝教育について報告する.
1) 第2年次分子遺伝学実習時に, 「色覚異常」について, インターネットを用いた情報収集とロールプレイ実習 (180分) を行った.
2) 平成14年から第4年次に臨床科目が臓器コース別に変わるのに伴い, 臨床遺伝コース (45分18回) を開始した.
3) この臨床遺伝コースでは知識習得となる系統講義だけでなく, 患者会の講演, 家系図の書き方実習, ロールプレイや倫理問題に関する討論も取り入れ学生からの評価も高かった.
4) 臨床遺伝教育は, 題材によっては医療導入として早期教育においても行うことができる半面, 遺伝医療の重要性を理解してもらうためには疾患像がつかめる臨床科目終了後に行うことが有効である.

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