医学教育
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エビデンスをつくる臨床研究者育成
新しいリサーチ・コミュニティの創生
福原 俊一
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2007 年 38 巻 2 号 p. 83-88

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抄録

1) Population-based Medicineと臨床研究: 異なる源流を有する2つの医学は, これまで日本の医学界で交わることがなかったが, 100年以上の歳月を経て接点が見いだされようとしている.
2) 臨床研究とは何か?ともするとTRや治験と同義にされがちだが, アウトカム研究, 薬剤疫学研究, 医療の質研究, 決断分析, 経済評価研究と広大な研究領域を包含している.
3) 臨床研究をめぐるわが国の動向: 厚生労働省, 文部科学省などが「臨床研究」をキーワードに, 戦略的アウトカム研究, 臨床研究推進事業, 基盤整備事業, 人材育成事業等において, この1, 2年, 動きが急である.
4) しかるにわが国ではこれまで臨床研究を軽視し, 研究者を育成してこなかったためにこの潮流を活かすことができないでいる.米国は30年以上前より戦略的に臨床研究を担う人材育成をはかっており, その厚い研究者の層が現在の臨床研究の隆盛を支えている.
5) Population-based Medicineと臨床研究:「頻度」「社会にとって意味のあるアウトカム指標」「その結果が診療や政策を変えるインパクトをもつ研究」など, 両者に共通する価値基準は意外と多い.今後ますます両者は協調して研究を推進すべきである.

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