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3'-メチルDBA投与によるラット肝RNA合成のSalvage経路活性の上昇
為政 脩手塚 雅勝藤沢 宗駿武田 隆幸
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1978 年 27 巻 9 号 p. 509-513

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抄録

発がん物質の3'-メチルDABをラットに投与し, その経過日数と肝RNAへのウラシル, オロチン酸のとりこみ活性の変化を検討するとともに, 投与初期におけるRNA合成のSalvage系に働く酵素活性の変動を検討した。
ウラシル (10-3M) の肝RNAへのとりこみは3'-メチルDAB投与15日後から明らかに増大し, 肝がんが形成された240日後までその活性増大は持続した。一方, オロチン酸のとりこみは投与後15~30日で増大したが, 240日後には正常のレベルにもどった。
RNA合成のSalvage経路に作用する酵素のうち, ウリジンフォスフォリラーゼおよびウリジンキナーゼは投与後15~30日で活性が上昇したが, UMPピロフォスフォリラーゼ活性の上昇は認められなかった。また, ウリジンキナーゼとウリジンフォスフォリラーゼの活性は, 3'-メチルDABを30日間投与したのち正常食にして60日間飼育したラット肝においても, 高いままで維持された。
このような発がんの初期過程におけるRNA合成のSalvage経路活性の上昇と, それに働く酵素活性の上昇との関連について考察した。

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