2004 年 65 巻 9 号 p. 2362-2367
過去10年間で餠による食餌性イレウスを2例経験した.自験例を含む1982年以降の本邦報告28例の文献的考察を加えた.
症例1は68歳,男性.嘔吐・突然の上腹部痛,腹部CTにて小腸の拡張・鏡面像を認め,またhigh densityな物質を腸管内に認めた.絞扼性イレウスとして緊急開腹したが,小腸切開にて嵌頓餠を摘出した.症例2は65歳,女性.間欠的腹痛・嘔吐,腹部CTでhigh densityな物質を腸管内に認め,餠イレウスと診断,緊急開腹・小腸切開で嵌頓餠を摘出した. 2例とも胃切の既往はなく,食事歴で餠を摂取していた.
餠嵌頓イレウスは一度経験すれば,次回より腹部CTで容易に診断できる.しかし腹膜刺激症状が強いため,腹部症状に応じて保存的治療よりも緊急手術のタイミングをはかる必要がある.