先に発表した著者等の論文 (高志ら, 1974) で, 完全開放状態のもとでは, 凍結膨脹率は凍結面に垂直にかかる応力σおよび凍結速度Uの平方根に反比例するという実験式を提示した.しかしながら, この式は応力σが1kg/cm2以下では実験値と一致しなくなることを同じ論文で述べた. 本論文ではこの不一致の原因を, 未凍結土中を通って凍結面に吸い寄せられる (または排出される) 間隙水の動水抵抗に起因する有効応力の増加によると考え, 理論解析を行うと同時に, 追加実験を行った. その結果は, 動水抵抗による有効応力σの増加を考慮に入れさえすれば, 理論と実験値はよく一致することがわかった.したがって, 著者等の提示した実験式は, 未凍結土内の動水抵抗がない理想状態では, σが比較的小さくても成立することが証明された.