人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
溶質の光学的特性を利用した新しい溶質透過係数測定法の開発
大村 朋幸酒井 清孝
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 19 巻 2 号 p. 679-682

詳細
抄録

中空糸透析膜の溶質透過係数の正確かつ簡便な測定方法は未だ確立されてない。我々はこれまでラジオアイソトープ(RI)を用いた溶質透過係数測定法を開発してきたが、放射能の危険性、特殊施設の必要性など様々な問題を抱えている。今回我々は溶質の光学的特性を利用し、光の吸光度の時間による変化より中空糸透析膜の溶質透過係数を測定する新しい方法を開発した。我々が開発した測定装置において各種単成分溶液濃度と透過光強度の関係は低濃度領域においてLambert-Beerの法則に従うことが確認された。また今回の方法による各種溶質の溶質透過係数測定値はクリアランスから算出される総括物質移動係数、もしくは従来のラジオアイソトープ法による溶質透過係数測定値とほぼ一致した。
今回の光を用いる溶質透過係数測定法はRI法に比べ安全かつ簡便であり、本法による多成分同時測定の可能性も示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top