平板近傍で温度勾配を有する気体内に浮遊する球形粒子について, 周辺気体の温度場および熱クリープによる流れ場を, 速度すべりおよび温度跳躍を考慮して解析した.その結果, 平板より任意の位置における粒子に働く熱泳動力を計算し, すべり連続域におけるKn数との関係を明らかにした.また, 無限気体内の粒子に対するBrockの式との比較から, 温度場, 流れ場および熱泳動力に及ぼす平板の効果を明らかにした.温度跳躍は泳動力を大きく, 速度すべりは小さくする側に作用する.熱クリープ流は, 粒子の熱伝導が大きい場合, 平板の効果により, 大きくなり, 小さい場合には小さくなる.泳動力はBrockの式で推算される値より大きい値を示し, 粒子が平板に近づくにしたがって急激に大きくなる.一方, 沈降速度は, 泳動力より大きくなる抗力の影響を受けて小さくなる.